日々進化するテクノロジー

グローバルウェイDXシリーズ第1弾
日々進化するテクノロジー

近年、デジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)という言葉がよく聞かれるようになりました。これは2004年にスウェーデンのウメオ大学教授エリック・ストルターマンが提唱した「ICT(情報通信技術)の浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念ですが(出典:総務省 情報通信白書平成30年版 )、本来と異なる趣旨で語られていたり、本質の一部だけを伝えていたりするケースも少なくありません。

グローバルウェイは、DXとは「デジタル技術を活用したビジネス変革」であると捉えており、その実現のためには「デジタル技術」の導入はもちろん、その技術を用いてビジネス変革を実現する「人材」の強化が重要だと考えています。このことについてより詳しくお伝えしたく、グローバルウェイ代表取締役社長 小山が語る「グローバルウェイDXシリーズ」を企画いたしました。

全4回にわたってお届けするこのシリーズ、まず第1回目のテーマは「日々進化するテクノロジー」です。

近年、オンプレミスからクラウドへと移行する企業が増えています。これはなぜでしょうか?

小山

まず前提として、オンプレミスとクラウドについてご説明します。
「オンプレミス」とは、ソフトウェアやITツールなどのIT資産を、自社が管理するサーバーやデータセンターで運用する形態のことです。自社で環境構築するため、柔軟にカスタマイズすることができ、第三者が介入しないのでセキュリティ面でも安全性が高いというメリットがありますが、一方では初期費用が嵩み、サーバー構築にも時間がかかるというデメリットもあります。

次に「クラウド」は、サーバーやソフトウェアを自社が管理する環境に置かず、ネットワーク経由で外部環境を使う形態のことです。自由に環境の拡張が出来るように設計されているので、利用者は必要な分の利用料金を支払い、拡大する必要が出てくればその都度対応していくことが可能です。

オンプレミスからクラウドに移行する理由はいくつかありますが、まず技術的要素の話からご説明します。テクノロジーの世界は、技術が日々進化しており、5年も経てば様々なことが変わっていて「昔の話」という感覚になることもあります。オンプレミスが主流だった時代は、こうした技術の進化に合わせて、5年~10年というサイクルで機能改修しながらシステムを利用していました。これは改修のタイミングで大幅な費用がかかるだけでなく、次の改修サイクルが来るまでは技術的なアップデートをすることができないことにもなります。この技術的なアップデートの遅れを「リスク」だと捉え、いつでも最新技術にアップデート可能なクラウドへの移行が進んでいます。

費用面での理由もあります。オンプレミスでシステム構築をしようとすると、上記のような背景から、予め5年後のことを想定したインフラ環境を調達しておく必要があります。現状100人の会社が5年後には300人になることを見込んで、300人体制に耐えられるシステムを導入したりシステム環境を構築したりしても、初年度は3分の1しか利用せず、無駄なコストになってしまいます。それよりは、初年度は100人分のシステム環境を導入して、2年目には150人になっているから150人分に増やしてというように、柔軟に調整できる方が良い。これは、買い切りではなく必要に応じて拡張できるクラウドだからこそできるメリットです。

社内の環境整備という点で、クラウドのメリットがよく分かりました。では、ビジネス面ではいかがでしょうか?

小山

ビジネス面でも、クラウドの柔軟性は大きなメリットになっています。これには大きく2つの理由があります。
まず、近年様々な企業が新たなチャレンジを始めており、ビジネスの可能性が広がっています。新たなチャレンジを行い、それが上手くいけばビジネスを拡大し、上手くいかなければすぐに見切りをつけてまた別のチャレンジにうつります。一つのチャレンジに時間をかけるのではなく、成功に向けてチャレンジを繰り返すことが当たり前のようになりました。でも、新たなチャレンジを行うには、新たなシステム投資が必要になる場合もあります。オンプレミスでインフラ環境を構築してしまうと、その環境を変更する際に大幅な改修を加える必要がありますが、クラウドであれば、必要に応じたインフラ環境構築が可能になります。クラウドという選択肢を採ることでインフラ環境において融通が利くようになり、企業が新しいチャレンジに取り掛かりやすい状況になっていると思います。

もう1つは、クラウドはビジネスにおける様々な「ピーク」に対応しやすいというメリットがあります。ECサイトを運営する場合、期間限定セールを行うと、そのセール時間にだけアクセスが集中し、販売が急増します。オンプレミスでこのビジネスの「ピーク」に対応する場合、年に数回しかないセールのために、ECサイトの設計時からアクセスが最も集中する時のことを想定したインフラ環境を構築する必要がありますが、クラウドであれば最初から「ピーク」に合わせた環境構築をする必要はありません。シーズナリティや突発的な需要に合わせてインフラ環境を臨機応変に変えていけるのは、ビジネスにおいても大きなメリットがあると言えます。

こうしたメリットを踏まえてクラウドを活用することで、ビジネスの新たなチャレンジを促し、ビジネスが新たに生まれ変わるサイクルも早くなります。大企業が自社で利用するために開発したCRM(Customer Relationship Management:顧客管理システム)がある場合、中小企業が同じシステムを開発することは費用面や工数面において難しいですが、そのシステムがクラウドサービスとして提供されれば、費用を負担さえすれば企業規模に関係なく使用することができます。これは経済全体へのインパクトもあります。

「所有」から「利用」へという概念が、クラウドの基本的な考え方です。このように、技術進歩に対するクラウドの時間面と費用面のメリットは大きく、それに合わせてビジネスの可能性が広がっているということが、オンプレミスからクラウドへの移行が進んでいる理由です。


グローバルウェイDXシリーズ第2弾は、「グローバルウェイのDXの定義」についてお届けする予定です。どうぞお楽しみに!